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スタジオは私の名刺代わり
イルゼ・クロフォードへのインタビュー
イルゼ・クロフォードは、ロンドンを拠点とするデザイナー、クリエイティブディレクターであり、学者としての顔も併せ持つ人物です。人間の需要と欲望、それが彼女のすべての活動の中心となるテーマです。彼女は、デザイン事務所スタジオイルゼを創設し、学術的な研究チームとともに、自身の思想に形を与え、命を吹き込むべく実践に取り組んでいます。それはすべての人間が快適に過ごせる環境を作りだすということです。彼女はスタジオの扉を開き、ヴィトラのインタビューに答えてくれました。ワークスペースについての彼女の見解と、スタジオイルゼのオフィスに佇む特別な家具、つまりヴィトラのクラシックと呼ばれる名作家具がもたらす効果について語りました。
多くの住まいと同様、私たちのスタジオの中心にはキッチンがあります。私たちは、意図的に家庭用のキッチンを作り、本格的な調理器具を揃え、皆で毎日集まることができる大きなテーブルを設置しました。スタジオは私たちの名刺代わりともいえます。私たちがクライアントや友人をもてなす場所であると同時に、彼らが中に足を踏み入れた時に、私たちが何者であり、どのように働き、何を大切に考えているかを理解してもらうための場所でもあるのです。
スタジオイルゼのオフィスの雰囲気はどのようなものでしょうか?
私たちのスタジオはクリエイティブに仕事をする場でありながらも、カジュアルで親しみやすく、まるで家のような雰囲気です。約20名ほどのスタッフが、お気に入りの石や木などの素材に囲まれ、共存しています。大型のオーク材の机、木製の床、空間にぴったりのラグ、本物の家具と柔らかな光を灯す照明器具、そしてたくさんの植栽。基本的に自然素材を用い、五感を刺激する生き生きとした空間を作り上げました。多くの住まいと同様、私たちのスタジオの中心にはキッチンがあります。私たちは、意図的に家庭用のキッチンを作り、本格的な調理器具を揃え、皆で毎日集まることができる大きなテーブルを設置しました。スタジオは私たちの名刺代わりともいえます。私たちがクライアントや友人をもてなす場所であると同時に、彼らが中に足を踏み入れた時に、私たちが何者であり、どのように働き、何を大切に考えているかを理解してもらうための場所でもあるのです。
´Investing in a high quality and human work environment shows your staff that they, and their skills, are invested in.´
「働く環境の質を高め、より人間的な環境へと整えるべく投資すること。それは、働くスタッフに対して、さらに彼らのスキルに対して、企業が投資する姿を示すことに他なりません。」
数ある製品の中から、「 イームズ ソフトパッド チェア」を選んだ理由は何ですか? 「『クラシック』と呼ばれる製品は、長い時の流れを生き抜き、愛され続けてきたデザインです。 イームズソフトパッドチェアを選んだのは、頑丈で心地よく、さまざまな調節が可能、とてもよくできている製品だからです。公共や商業施設用の一般的なコントラクト家具よりも、見た目のデザインも使い心地も優れています。ただし、この椅子が、当時は非常に先鋭的であったことを忘れてはいけません。現代、世の中に溢れている標準的なオフィス家具のほとんどは、機能的に見えることばかりを重視し(例え実際にそこまで高い機能性でなかったとしても)、素材感のある感覚的な喜びを与えることよりも、無駄を省くことにばかりに注力されているように思います。
私たちは、一日の時間の大部分を仕事に費やしています。そのため、仕事をする場は、そこで働く人々が落ち着いて、心地よく過ごすことができ、さらにモチベーションを高めてくれる場所であるべきだと考えています。働く環境の質を高め、より人間的な環境へと整えるべく投資すること。それは、働くスタッフに対して、さらに彼らのスキルに対して、企業が投資する姿を示すことに他なりません。
賢い投資だったとは、思いがけない贈り物をいただいたような気分です。万が一、私たちがこの椅子を手放さなくてはならない時が来たとしても、その価値は変わりませんし、新たな居場所が簡単に見つかるはず、それはとても持続性が高いということを意味します。とは言え、15年以上を経った今でも、スタジオの誰もがこの椅子を手放そうとはしないですけどね。
オフィスを設計するとき、クラシックな製品が現代においてもなお重要視されるのはなぜでしょうか?
時代を超えて愛されてきた名作を購入し、取り入れる利点は、10年先も、その製品を使い続けることができるということです。製品自体がもともと優れたデザインであるだけでなく、ヴィトラは自社の製品に対して継続的な責任と配慮を忘れない企業です。このイームズソフトパッドチェアは、 スタジオイルゼの初期の頃、当時は思い切って多額の投資を費やした以前のスタジオから持ってきたものです。でも、今でも購入したばかりの時と変わらない位に良い状態です。賢い投資だったとは、思いがけない贈り物をいただいたような気分です。万が一、私たちがこの椅子を手放さなくてはならない時が来たとしても、その価値は変わりませんし、新たな居場所が簡単に見つかるはず、それはとても持続性が高いということを意味します。とは言え、15年以上を経った今でも、スタジオの誰もがこの椅子を手放そうとはしないですけどね。
‘A case for classics’ のページでは、ヴィトラのクラシック製品を取り入れたオフィス空間について詳しくご紹介しています。
Publication date: 15.2.2019
Images: StudioIlse, Helen Cathcart, Leslie Williamson