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椅子で眠る猫
「イームズ ファイバーグラス アームチェア with スタインバーグ キャット」のストーリー
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ルーマニア生まれの芸術家ソール・スタインバーグ(1914-1999)は、社会や物事に対する研ぎ澄まされた視点をシャープな線画で表現した作品で1940年代に名声を博しました。アメリカに渡る十数年前にミラノで建築科の学生として過ごした日々が、ニューヨークのさまざまな出版物でイラストレーターとして活躍するきっかけになりました。その経歴もあり、彼は移民でありながらもアメリカの市民権を得ており米国海軍の予備兵でもありました。
1940年代後半になると、雑誌『The New Yorker』のイラストを通してスタインバーグは広く知られるようになり、ニューヨークの知識人やアート業界の中でもその名は定着しました。彼はありとあらゆる仕事を請け負い、その需要も高まっていきました。
1940年代後半になると、雑誌『The New Yorker』のイラストを通してスタインバーグは広く知られるようになり、ニューヨークの知識人やアート業界の中でもその名は定着しました。彼はありとあらゆる仕事を請け負い、その需要も高まっていきました。
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時を同じくして、チャールズ&レイ・イームズもまた名声と賞賛を得ていました。その最大の要因はプライウッドチェアの成功でした。軽量で頑丈かつエレガントなフォルムのプライウッドチェアは、従来のどの家具とも異なり、商業的にも大成功を収めました。この画期的な家具デザインに続くもうひとつの革命は「イームズ ファイバーグラス チェア.」の誕生でした。1950年に発売されたイームズファイバーグラスチェアは、背もたれと座面の一体成型シェルを工業的に大量生産された世界で初めての家具デザインであり、現代の椅子の系譜に直結する革新的な発明でした。
イームズファイバーグラスチェアが発売されたちょうどその頃、スタインバーグは妻でアーティストであったヘッダ・スターンとともにロサンゼルスで2か月を過ごしていました。彼らがロサンゼルスに到着して間もなく、イームズ夫妻は彼らと出会いました。イームズ夫妻にとってはよくあることでしたが、仕事とプライベートの境界線はいつしか消え去り、まるで人生の友のようにすっかり親しくなりました。イームズ夫妻の自邸である「イームズハウス」では、スタインバーグが描いた女性の絵を、レイ・イームズとヘッダ・スターンに投影した不思議な写真を撮影したり、ユーカリの葉を草原から集めて鳥を象ったオブジェを作ったりして楽しみました。彼らはともに、アートとロサンゼルスをテーマにした映画を作りました。また、チャールズ・イームズが大学を卒業せず、建築の学位を持たないことに気づいたスタインバーグは、友人のために心を込めて精巧な偽の卒業証書を作ったりもしました。
イームズファイバーグラスチェアが発売されたちょうどその頃、スタインバーグは妻でアーティストであったヘッダ・スターンとともにロサンゼルスで2か月を過ごしていました。彼らがロサンゼルスに到着して間もなく、イームズ夫妻は彼らと出会いました。イームズ夫妻にとってはよくあることでしたが、仕事とプライベートの境界線はいつしか消え去り、まるで人生の友のようにすっかり親しくなりました。イームズ夫妻の自邸である「イームズハウス」では、スタインバーグが描いた女性の絵を、レイ・イームズとヘッダ・スターンに投影した不思議な写真を撮影したり、ユーカリの葉を草原から集めて鳥を象ったオブジェを作ったりして楽しみました。彼らはともに、アートとロサンゼルスをテーマにした映画を作りました。また、チャールズ・イームズが大学を卒業せず、建築の学位を持たないことに気づいたスタインバーグは、友人のために心を込めて精巧な偽の卒業証書を作ったりもしました。
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これらは、気心の知れた仲間との遊び心あふれた他愛もない実験に過ぎませんでしたが、しばしの時を経て、共同作品の誕生へと繋がっていくのです。カリフォルニア州のヴェニスにあるイームズオフィスを訪れたスタインバーグは、ブラシを手に取り、スタジオの壁や床、家具をキャンパスとして縦横無尽に生き生きとしたイラストを描きました。特に彼は新しく開発されたばかりのイームズファイバーグラスチェアに興味を持ち、流れるような線でイラストを描きました。イームズオフィスの中は、たちまち、想像性に溢れたキャラクターや動物があふれるスタインバーグの小宇宙に彩られました。チャールズ&レイ・イームズとオフィスの従業員たちは、その光景を夢中になって写真に記録しました。
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チェアに描かれたイラストのひとつは眠っている猫でした。スタインバーグはアームチェアのシェルで、イラストの猫を昼寝させたのです。目を閉じのんびりする猫の姿は、チェアと一体となり、まるで安息の場所を見つけたかのようです。
この時に描かれた表情豊かなイラストのうち、2つが現存しています。アームチェアのシェルの上にいる猫と、同じくアームチェアのシェルに描かれた裸の女性です。猫が描かれたチェアはイームズオフィスが所有し、「イームズ インスティテュート(研究所)」に保管されています。裸婦が描かれたチェアは、イームズインスティテュートから「ヴィトラ デザイン ミュージアム」に永久貸与されています。
この時に描かれた表情豊かなイラストのうち、2つが現存しています。アームチェアのシェルの上にいる猫と、同じくアームチェアのシェルに描かれた裸の女性です。猫が描かれたチェアはイームズオフィスが所有し、「イームズ インスティテュート(研究所)」に保管されています。裸婦が描かれたチェアは、イームズインスティテュートから「ヴィトラ デザイン ミュージアム」に永久貸与されています。
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猫はスタインバーグが描くイラストの中でも、頻繁に登場するモチーフのひとつで、雑誌『The New Yorker』の表紙として7回も描かれたほどです。ありふれた暮らしの中にある風景もまた、彼の興味の対象でした。椅子と猫という彼にとって重要なふたつのモチーフ、三次元の物体へのドローイング、現実と非現実が交差し作用しあう相互関係、それらの要素がひとつに紡がれ、チャールズ&レイ・イームズとの共同作品として結実しました。
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ソール・スタインバーグとヘッダ・スターンの夫婦は、1950年9月にロサンゼルスを去りましたが、それから後もスタインバーグのイラストにはイームズの椅子がたびたび登場し、彼らとイームズ夫妻は連絡を取り合っていました。チャールズ&レイ・イームズもまた、スタインバーグにまた卒業証書を作って贈ってほしいと頼むなど温かい親交が続きました。共同作品のいくつかは写真に収められているだけですが、現存する猫と裸の女性のイラストが描かれた2脚は、長年に渡りさまざまな機会に展示され、ソール・スタインバーグとチャールズ&レイ・イームズの色褪せないクリエイティブな感性を広く伝えています。
Limited Edition:「イームズ ファイバーグラス アームチェア with スタインバーグ キャット」
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2023年6月14日、ハーマンミラー、ヴィトラ、イームズオフィスの協働により、ソール・スタインバーグ財団の許可を得て、1950年代に描かれた彼のオリジナルイラストを精緻に再現したイームズファイバーグラスアームチェアが世界500脚限定で発表されます。ヨーロッパではヴィトラ、北米と日本ではハーマン・ミラーからの発売です。
Publication Date: 17.05.2023
Author: Stine Liv Buur
Images: 1., 3. – 7., 9.: © Eames Office, LLC 2023; 2.: © Estate of Evelyn Hofer; 8.: © The Saul Steinberg Foundation / Artists Rights Society (ARS), New York; 10. Staged at the Eames House, Pacific Palisades, California © Eames Foundation, 2023; Painting by Josef Albers: © The Josef and Anni Albers Foundation / 2023, ProLitteris, Zurich; 11. © Vitra