Sansusi - サンスーシ

愛を語るダブルハート

「サンスーシ(Sansusi)」は、アレキサンダー・ジラードのデザインにたびたび登場するモチーフの名前です。鏡合わせになった「S」の文字が交差し、ループすることで一つのモチーフが形作られています。2つのSは、アレキサンダー・ジラードの愛称サンドロとその妻スーザンの頭文字です。アレキサンダー・ジラードの孫であるアレイシャル・ジラード・マクソンが二人のストーリーを語ってくれました。

アレキサンダー・ジラードは、生涯を通じ、愛する妻スーザンにあらゆるプレゼントを贈りました。金のペンダントや銀のコーヒーのデキャンタ、真鍮製の棚、記念日のたびに用意されるギフトボックス。彼は、無限の愛を表現したサンスーシのモチーフをたいそう好み、自らの署名にまでサンスーシのダブルハートを刻みました。自分の人生における大切な想いや記録をモチーフとして残すという方法をジラードは実践していたのでしょう。そして、その個人的な想いは、商業製品としてプロダクト化されることで、普遍的なシンボルへと変わっていきました。彩り鮮やかな刺繍、シルクスクリーンのプリント生地、5フィート(約150cm)もある壁掛けのシリーズEnvironmental Enrichment Panelsなど、あらゆる手法でこの愛のモチーフは表現されました。
アレキサンダー・ジラードが、妹のレズリー(Lezlie)を通してスーザン・ニードハム(Susan Needham)に出会ったのは、二人がまだ20代前半の時でした。スーザンは、イタリアのフィレンツェからニューヨークに引っ越してきた、物静かだけれどもちょっと風変わりな兄妹にとても興味をそそられ、彼女とジラードはやがて恋に落ちました。二人が出会ったばかりの頃から、スーザンへのラブレターの末尾に記されるアレキサンダー・ジラードのサインの横にはサンスーシのモチーフが描かれています。二人は、互いへの尊敬と永遠の深い愛によって繋がれていました。スーザンはデザインの勉強をしたわけではありませんでしたが、独自の鋭く洗練された視点を持っていました。ジラードの生涯と彼のキャリアに彼女は欠くことのできない存在で、彼はいつでもスーザンの意見に絶対的な信頼をおいていました。二人はともに旅をし、世界中で民芸品やフォークアートを集め、自宅で二人ならではの世界観を表現したインテリアを楽しみました。
二人でともに旅をする中で、ジラードは世界のあちらこちらで愛のモチーフを見つけ、集めるようになりました。インドの先住民族が残した真鍮、イギリスで昔流行した金にダイヤモンドをあしらったネクタイピン、メキシコの鉄器。これらの中に遠い古来から受け継がれているモチーフを見つけ、さらに再解釈を加えて自らの作品に取り入れるのは、ジラードが得意とした手法でした。それらはクラシックでありながら現代的なモチーフとして再び生まれ変わります。サンスーシのモチーフは、ジラードがデザインしてからすでに数十年が経過していますが、時を越えても同じメッセージを私たちに伝えています。サンスーシは、アレキサンダー・ジラードとスーザンの愛を物語るだけでなく、現代に生きる私たちに、世界や全人類に向けた大きな愛を語りかけるシンボルといえるかもしれません。

Publication date: 8.2.2018
Author: Aleishall Maxon Girard
Images: Girard Studio LLC

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