蜂が教えてくれること

ヴィトラキャンパスでの養蜂

「ヴィトラ キャンパス」は、ヴィトラ製品の生産拠点であるとともに、世界的に著名な建築家による建築物が集まる「建築とデザインの聖地」として知られています。今や世界的に広く知られるヴィトラキャンパスですが、当初は、牧草地とぶどう畑の果樹園が広がるのどかな地元特有の風景の中に建設されました。年を追うごとに建築が増え変化を続けるヴィトラキャンパスには、2020年、オランダのガーデンデザイナーであるピート・アウドルフがデザインした多年生植物の庭「アウドルフ ガーデン」が作られ、その翌年、昆虫たちにも特別な家を提供しました。それはミツバチのための3つの巣箱です。現在、2 人のヴィトラ社員が世話をしています。

ミツバチはアウドルフガーデンで育つ多年生植物を食料にして、毎年約8キログロムの蜂蜜を生産しています。ヴィトラキャンパスに暮らすミツバチたちは、生物多様性をテーマにする議論やイベントで、いつでも話題の的です。
フローリアン・ブラウンとフローリアン・フェンスケは、ヴィトラキャンパス のほど近く、スイスのビルスフェルデンにあるヴィトラ本社のマーケティング部に所属しています。ヴィトラキャンパスにミツバチの家を作る計画を聞いた二人は、既に養蜂を勉強し、全コースを修了していました。「私たちはすぐにそのアイデアに夢中になりました」フローリアン・ブラウンはそう話します。 「ヴィトラキャンパスはミツバチにとって最高の環境です。アウドルフガーデンの多年草はもちろん、キャンパスに植えられた桜の木も彼らにとっては素晴らしい栄養源です。」
ガーデンの端にカラフルなミツバチの巣箱が3つ佇ずみ、この地域の野生のミツバチもまたこの巣箱を共有しています。「ヴィトラキャンパスに暮らすミツバチは本当に働き者です」とフローリアン・フェンスケは言います。 「彼らの受粉活動は、蜂蜜の生産はもちろん、地域の果樹園の収穫をも増やしています。」フローリアン・ブラウンは「しかし」と付け加えます。「ミツバチを育てる養蜂家として、彼らの性質に合わせることをもっとも大切にしています。私たちはミツバチを一般の養蜂よりもさらに自由にさせたいと考えています。時には巣箱を広く大きなものにしたり、蜂蜜の採取を少なめに調節したりしますが、基本的にはできるだけ介入しないように放っておきます。」
さらに、ヴィトラキャンパス周辺の地域には、多種類の野生のミツバチが生息しています。2人のアマチュア養蜂家は、それぞれの生息地をめぐって野生のミツバチと競合させないことが重要だと言います。「私たちはミツバチから多くのことを学んでいます」とフローリアン・フェンスケ。「昆虫の視点から植物や緑地を見ることができるようになると、野生の草むらや生け垣はミツバチにとって大切な隠れ家であることに気づきました。夏、ヴィトラキャンパスの芝生が腰に届くほどの高さまで育っていましたが、一定期間そのままにしていた理由です。これを見た一部の人は驚いたかもしれません。ヴィトラキャンパスを訪れ、くつろいでいるのは人間だけではないということなのです。

Publication date: 9.9.2022
Images: Vitra



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