ヴィトラは、昨年10月に実施した2日間にわたるデジタルサミット Vitra Summit(ヴィトラ サミット)に続き、今年は90分間に凝縮した新しいデジタルトークイベント Vitra Sessions(ヴィトラ セッションズ)を4期にわたりシリーズで開催します。昨年のパンデミック後、個人や企業の行動や働き方、暮らし方が大きく変化し、現在直面している課題について、各回ごとに掘り下げていきます。オピニオンリーダーであるデザイナーや専門家、経営者をゲストに迎え、それぞれのテーマに関する最新の研究やベストプラクティス、そして製品のニュースを織り交ぜ、皆さんのインスピレーションとなるような情報をお届けします。3月11日 (木)に開催したVitra Sessions 第1回目では、「Distributed Work=分散型ワーク」をテーマに、これからの働き方について様々な視点で掘り下げていきました。完全リモートや、オフィス勤務のみという働き方ではなく、出社とリモートを併用するハイブリット型「Distributed Work=分散型ワーク」と、それが企業や組織にもたらす影響について考察しました。Vitra Sessions第2回目は4月22日(木)、「Home Dynamics=新しい住まいの在り方」をテーマに開催。パンデミックの影響によりリモートワークが大幅に増えたことによって、住まいや暮らしに激変をもたらしました。このデジタルトークイベントでは、このような新しい変化に対応するこれからの住まいの在り方を議論します。
この1年ほど、私たちの住まいや暮らしが激変した年はありませんでした。外出自粛を余儀なくされ、自宅は安全な避難場所であるとともに、オフィスや学校、遊び場やジム、レストランや映画館としての機能が求められました。今後、ますます多くの企業が、出社とリモートのハイブリット型「Distributed Work=分散型ワーク」を選択し、フルタイムであろうと週数日であろうと、自宅から仕事をする人の割合はさらに増加すると予想されます。私たちの住まいは、こういった新しい動きに対応していかなければなりません。社会の変化には、デザインで応えていく必要があります。昨年、世界中で強制的に行われたリモートワークの実験から、私たちは何を学んだのでしょうか? デザイナー、建築家、家具メーカーとして、私たちの課題は、限られたスペースを最大限に活用しながら、安全性と心身の健康、そして暮らしのクオリティを両立する「新しい住まいの在り方」を創り出すことに他なりません。
現在、多くの人にとって、リモートワークが当たり前になりつつあります。自宅から個人での仕事は効率的にできるものの、同僚や上司、ビジネスパートナーと有意義な交流をしたり、企業文化を体現する場であるオフィスの重要度はますます高まっています。オフィスは、もはや単に仕事をこなす場ではなく、人と人とのつながりを築き、ユニークな企業文化を伝え、その結果、社員が会社への帰属意識やアイデンティティを感じるために大切な場です。外出自粛の期間を経て、人と人とのコラボレーションやコミュニケーション、そして偶発的な出会いを可能にする機能的なワークスペースが、かつてないほど求められています。これからのオフィスには、新たな社会に応じた機能が求められます。安全を確保するため物理的な距離を保ちながら社員同士のコラボレーションを促進し、クリエイティブに働くことができるという、その場に行く動機や、満足度に欠かせない場にすることが重要です。今求められるのは、オフィスだけでなく組織の在り方の両方を再考すること。これまで通りのインテリアやグリッド状に配置された固定席、凝り固まったルーティーンから脱却し、今後はどんな変化にも素早く対応できる、アジャイルな製品を使った空間、オフィスからでも自宅からでも生産性とクリエイティビティを育むことのできる柔軟な環境作りが鍵となります。